公益財団法人 仁泉会 セイントクリニック
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無痛分娩について

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当院は厚生労働省のウェブサイトに掲載されている無痛分娩取扱施設です。

無痛分娩の実績(最近10年間)

当院では平成5年から無痛分娩を取り入れ、休止期間を除き約20年の豊富な経験があります。当初、一般的な認知度は低く実施件数は年間数名程度でしたが、その後は徐々に増加し年間50~60件の実施件数で推移していました。無痛分娩麻酔管理者が確保できたため、平成29年9月より無痛分娩を再開しました。

分娩総数 麻酔分娩 帝王切開 備考
平成20年 727 56(7.7%) 49(6.7%)
平成21年 737 65(8.1%) 60(8.1%)
平成22年 779 72(9.2%) 50(6.4%)
平成23年 597 60(10.1%) 54(9.0%)
平成24年 537 18(13.8%) 53(9.9%) 3月で受付終了(分娩数130件)
平成25年 572 0 58(10.3%) 無痛分娩麻酔管理者不在
平成26年 552 0 53(9.6%) 無痛分娩麻酔管理者不在
平成27年 470 3(0.6%) 68(14.4%) 無痛分娩麻酔管理者常勤は短期のみ
平成28年 417 0 33(8.6%) 無痛分娩麻酔管理者医不在
平成29年 389 4(2.8%) 37(9.8%) 9月から受付開始(分娩数145件)
平成30年 388 10(2.6%) 39(10%)

平成24年は受付終了までの分娩数、平成29年は受付開始後の分娩数を基にした「%」です。

当院で行っている無痛分娩

無痛分娩では硬膜外麻酔を使用しています。子宮収縮、子宮口の開大、産道の伸展などによる痛みは背骨の中心にある脊髄を経由して脳に伝わります。この脊髄は硬膜という硬い膜につつまれています。硬膜外麻酔ではこの硬膜の外のスペース(硬膜外腔)に太さ1mmにも満たない細い管を留置し麻酔薬を注入します。麻酔薬が、脊髄から枝分かれした神経に作用し、脳に伝わる痛みの情報をブロックすることで陣痛の痛みを和らげます。
 当院では安全性を考慮し、原則計画分娩としています。分娩の前日に入院し硬膜外麻酔の管を挿入しておきます。当日は、内服薬から開始し1時間以上の間隔をおいて点滴による陣痛誘発を行います。陣痛の痛みを感じるようになった時点で麻酔を開始します。麻酔を開始したら、定期的に血圧、血中酸素濃度を測定することはもちろん、機機器任せにすることなく常に助産師が妊産婦さんのそばで顔色を見る、お話をすることで安全を確認し、副作用や合併症の早期発見に努めています。また、分娩終了まで胎児心拍と陣痛の状態を確認するモニターを装着し安全に細心の注意をはらっています。麻酔薬の初回投与時、痛みが強く効果が不十分と判断した場合には麻酔薬を6mlほど注入しますが、この際も3mlずつを2回に分け少量分割注入しています。麻酔維持の持続投与も4~6ml/時と少量としています。これらのことは、安全性の向上、副作用や合併症の軽減のために最も必要なことと考えます。安全のため、無痛分娩中は点滴を行い絶飲食としています。

合併症

①血圧低下、悪心・嘔吐、運動神経麻痺、排尿障害、かゆみ
麻酔が効いてきた証拠で、大きな子宮があるため血圧は下がりやすくなります。予防のためあらかじめ輸液量を負荷するとともに、側臥位で休んでいただきます。悪心・嘔吐は血圧低下によるものも多く、これらの対応で多くは軽快します。血圧低下が持続する場合には血圧を上げる薬を使用します。

②頭痛(頻度;1%)
硬膜外チューブを挿入する際、誤って硬膜を穿刺すると発症します。誤穿刺自体の頻度はまれですが、誤穿刺した場合には頭痛は高率に発症します。鎮痛剤の投与、輸液負荷などで対応します。

③局所麻酔薬中毒(頻度;0.1~0.18%)、全脊椎麻酔(頻度;0.15~0.18%)
局所麻酔薬中毒は麻酔の管が誤って血管内に入ってしまった場合などに起こります。耳鳴りや金属味などの症状や麻酔薬が大量に入ると呼吸抑制、循環抑制、痙攣などがみられます。全脊椎麻酔は硬膜外腔の管が誤って脊椎くも膜下腔に入る位置異常や硬膜外針で硬膜を傷つけた場合くも膜下に麻酔薬が流入し広範囲に麻酔が効いてしまうために起こります。重症例では呼吸抑制や循環抑制が出現します。これらのことに対処するため、麻酔施行中は必ず点滴を行い、定期的に血圧、血中酸素濃度を測定します。一度に大量の麻酔薬を使用すると重篤な合併症を起こす可能性が高くなるため、麻酔薬は、少量分割投与、少量持続投与(4~6ml/時程度)を原則としています。

④穿刺部の血腫や膿瘍の形成、麻酔薬アレルギー、心停止、その他
さらに頻度が少ないものに、管を挿入した周囲に血液が溜まる血腫や感染により膿が溜まる膿瘍が形成、麻酔薬によるアレルギー反応、心停止、神経根症状などがあります。

急変時の対応

無痛分娩を安全に行うために最も必要なことは硬膜外麻酔の管が正確に硬膜外腔に留置されていることです。麻酔薬注入前には吸引試験を行い血液や髄液が吸引されないことを確認しています。しかし、使用中に管の位置が変わる可能性があり常に急変に注意する必要があります。急変に備え、LDRには緊急薬剤、酸素投与や人工呼吸の準備をしています。また、緊急時に必要な薬剤とその投与量をまとめた「Rescue Card」を作成しています。

「Rescue Card」の種類

  • 産科危機的出血(弛緩出血)
  • 局所麻酔薬中毒
  • 全脊椎麻酔
  • アナフィラキシーショック
  • 気管内挿管の手順

陣痛促進剤の使用について

硬膜外麻酔分娩は計画出産となるため陣痛促進剤の使用頻度が増えます。陣痛促進剤には、分娩の際に脳から分泌されるオキシトシンの製剤(注射薬)と陣痛とともに体内で作られ子宮の出口を柔らかくする作用をもつプロスタグランディンの製剤(内服薬と注射薬)があります。当院では、内服薬を1時間毎に1錠ずつ1~2回内服していただき、その後1時間以上の間をあけてオキシトシン製剤を開始します。子宮収縮や赤ちゃんの状態を確認しながら輸液ポンプを用いて薬液量を厳密に調整しながら最少量より開始し、有効陣痛が得られるまで徐々に増量していきます。赤ちゃんや陣痛の状態を確認するため分娩監視装置は分娩終了までつけて不測の事態に備えます。特に注意しないといけない合併症には過強陣痛(かなり強い陣痛)、子宮の筋肉の一部が裂ける子宮破裂がりますが、慎重で適切な陣痛促進剤の使用と厳重な分娩管理を心掛けることで、陣痛促進剤を使用してない自然分娩に比べこれらの危険性が増加することはないといわれています。また、羊水が母体の血液に入りアレルギー反応を起こす羊水塞栓症などがあります。

麻酔が分娩や赤ちゃんに及ぼす影響

硬膜外麻酔分娩の場合、陣痛開始から子宮口が全部開く(分娩第Ⅰ期)までの時間、子宮口が全部開いてから赤ちゃんが生まれるまで(分娩第Ⅱ期)の時間が長くなる傾向があり、分娩第Ⅰ期で約40分、分娩第Ⅱ期で約15分と言われていましたが、麻酔方法の進歩により分娩経過への影響は少なくなってきています。しかし、吸引分娩や鉗子分娩が多くなることがわかっています。一方、最近の硬膜外麻酔を用いる麻酔分娩では使用する麻酔薬の量が少ないので、薬剤が赤ちゃんに移行し何らかの影響を与える心配はほとんどありません。
 前述の様な重篤な合併症が起こった場合には赤ちゃんの状態が悪くなることがあります。麻酔中は合併症の発症には最大限注意し適切な管理を行います。

料金

通常の分娩費用に加え、硬膜外麻酔の手数料として80,000円をいただきます。効果には個人差がありますが料金は同じです。予定外で硬膜外麻酔分娩を行う際、スタッフの追加招集が必要となった場合には10,000円の追加料金がかかります。

無痛分娩麻酔管理責任者について

無痛分娩麻酔管理責任者:塩津英之

昭和62年3月北里大学医学部卒、同6月産婦人科学医局に入局
北里大学病院での中央手術室麻酔科、新生児集中治療室、3次救命救急センターでの研修を含め、東京逓信病院、総合横須賀衣笠病院で5年間の研修を受ける。
平成4年4月から平成24年3月までセイントクリニックに勤務。その後5年間の札幌勤務ののち、平成29年3月セイントクリニックに復帰。
日本産科婦人科学会・認定産婦人科専門医(有効期限;2024年9月30日)
日本周産期新生児医学会・新生児蘇生法「専門」コース終了認定者(有効期限;2019年11月14日)
母体保護法指定(有効期限;2018年9月30日、更新申請中)
日本産科麻酔学会会員

①無痛分娩研修歴
北里大学病院においては、初期の2年間は吸入麻酔による無痛分娩、後半の3年間では硬膜外麻酔による無痛分娩の分娩誘発および産科麻酔の管理を学ぶ。

②無痛分娩実施歴
大学病院での研修後、平成4年4月に現セイントクリニックに赴任。在任期間中は年間50~60例の無痛分娩の麻酔の大半を管理。平成24年4月から平成29年3月は札幌の医療機関で無痛分娩を行う。セイントクリニック復帰後、平成29年9月より無痛分娩を再開。

③無痛分娩講習会受講歴
日本産科麻酔学会学術集会(2017年11月18日)
LA solutions主催「エキスパートに聞く安全のための無痛分娩講習」(2018年5月12日)
日本産科麻酔学会学術集会(2018年11月23日開催予定)

④その他の麻酔実施歴
大学病院・中央手術室麻酔科では、心臓血管外科、小児・新生児外科を除くほぼ全科の硬膜外麻酔、全身麻酔の管理を研修。セイントクリニック赴任後は帝王切開術、系列病院婦人科手術の麻酔を担当し硬膜外麻酔、脊椎麻酔、全身麻酔の管理を行う。

無痛分娩に関する情報公開

日本における無痛分娩はまだまだ少数派で、積極的に麻酔分娩をする傾向にあるアメリカやフランスに比べとても低いと言われています。無痛分娩には高度な技術と多くの経験、習熟した安全管理を必要とされるため、欧米に比べ診療所での分娩が多い日本では取り入れていない医療機関が沢山あるからです。また、日本人は他の国の人よりも痛みに強いとされ、自分の母親から「私ができたのだから、あなたも大丈夫」、「お腹を痛めて産んだ子だから・・・」という言葉もあるように、陣痛に堪え忍ぶことを美徳とし母子確立のために重要な要素の一つと考える傾向にあるからだと考えられます。さらに、出産という生理現象への医療技術の介入に対する医療従事者の反発も無痛分娩の普及を妨げています。一人の女性の出産回数が少なくなるにつれ、一回の出産の持つ意義はますます大きくなっています。個性や多様性が重視される現在、お産の痛みに対する考え方も人それぞれです。「陣痛を乗りのり越えて自然に出産したい」と考える方もいらっしゃいます。しかし、経験したことない“お産の痛み”、また経験したからこそのわかる“お産の痛み”に不安をお持ちの方、その強い不安から妊娠生活そのものまで憂鬱なものなってしまう方、「体力を温存して育児に臨みたい」と考えている方にとって無痛分娩は有効な方法だと思います。様々な考え方の妊婦さんのご希望に応えるため、当院では“無痛分娩”に対応する体制を整えています。
 陣痛の痛みへの不安を解消し、安心した妊娠生活を送り納得して満足のできる分娩方法として、ラマーズ法、ソフロロジー法などと同様、無痛分娩も特別なものと考えず興味がある方は遠慮なくご相談ください。

無痛分娩の実績

当院では平成5年から無痛分娩を取り入れています。平成24年4月から平成29年8月までの約5年間の休止期間を除き約20年の豊富な経験があります。当初無痛分娩の実施件数は年間数名程度でしたが、その後は徐々に増加し年間50~60件の実施件数で推移していました。

硬膜外麻酔による無痛分娩とは

子宮収縮、子宮口の開大、産道の伸展などによる痛みは背骨の中心にある脊髄を経由して脳に伝わります。麻酔で痛みの情報が脳に伝わるのをブロックして陣痛の痛みを和らげます。無痛分娩を始めると痛みは和らぎますが、下半身の感覚が完全になくなる訳ではありません。赤ちゃんの下降感や子宮の収縮をある程度感じながら分娩は進行し、赤ちゃんが出てくる感じもわかります。

当院の麻酔分娩

当院では安全性を考慮し、原則計画分娩としています。出産予定の前日に入院していただき硬膜外麻酔のチューブを挿入しておきます。当日は、内服薬から開始し1時間以上の間隔をおいて点滴による陣痛誘発を行います。陣痛の痛みを感じるようになったら麻酔を開始します。完全な無痛を求めると、吸引分などの機械分娩の増加、副作用や合併症の頻度が増加するため麻酔薬の量や強さを調節します。全く痛くないことを意味する「無痛」という言葉がついていますが、全く痛くなかった方、軽い痛みを感じていた方、結構痛みを感じた方までさまざまです。しかし、痛みの強さは軽減し、痛みを感じる時間も短くなると考えています。

合併症

比較的頻度が高いものには血圧低下、悪心・嘔吐、運動神経麻痺、排尿障害、かゆみなどがありますが、これらは麻酔が効いてきた証拠です。他には頭痛(頻度;1%)、非常にまれなものに局所麻酔薬中毒(頻度;0.1~0.18%)、硬膜外チューブの位置異常(頻度;0.15~0.18%)に伴う全脊椎麻酔、穿刺部の血腫や膿瘍の形成、麻酔薬アレルギー、心停止などがあります。

無痛分娩麻酔管理者

無痛分娩の際の麻酔を、産科医が担当する施設と、麻酔科医が担当する施設がありますが、当院では産科医(塩津英之)が担当しています。

無痛分娩の申し込み

無痛分娩をご検討の方にはテキスト・「当院における硬膜外麻酔分娩について」をお渡しいたします。あらかじめ無痛分娩の概要を理解した上で妊娠32週までに助産師の個別面談を受けて頂きます。さらに妊娠35週までに無痛分娩麻酔管理者(塩津)からの硬膜外麻酔分娩についての説明を受け同意書をお受け取りください。無痛分娩を希望される方はこの同意書を妊娠36週までに提出していただき申し込み終了となります。